ALL THAT IS SOLID MELTS INTO NETWORK


全ての確固たるものは、ネットワークへと溶けていく。
僕らはあまりにも即時的。
僕らはあまりにも揮発的。
そして、僕らはあまりにも脆い。
全てはネットワークへと溶けていく。


全てが溶けていく所であった<空気>は<ネットワーク>へと変わった。
僕らはネットワークによって生かされている。
ネットワークこそ空気。情報こそ食料。
ネットワークは脆い。
すぐに綻びが生まれる。
ネットワークに生かされている僕らはもっと脆い。


ネットワークは情報を無限大に大きくする。
現代のシステムは情報の拡大を加速する。
情報は広がれば広がるほど価値を持つ。
いや、広がった情報こそが価値のある情報となる。


確率Pが生じたとき、僕らは-log2Pの情報量を得る。
確率が小さいとき、つまり滅多に起こらないとき、情報量は非常に大きくなる。
逆に、ありふれた情報の情報量は少なくなる。


ネットワークは情報を価値のあるものにし、価値のないものにする。
ネットワークは相対する二つの動作を同時にする。
いや、二つの動作は微分の差を持つ。
それは必ず価値を持たせた後に、価値を無くさせる。
ネットワークはそれを一瞬で行う。
システムはそれを加速させる。


ALL THAT IS SOLID MELTS INTO NETWORK


ネットワークには境界線が無限にある。
全てのノードが境界線になりうる。
それは自由に姿を変える。
境界線は気まぐれに生まれ、気まぐれに消える。
あまりにも早く境界線が動き続けたとき、
境界線は消えてなくなる。
そして僕らの周辺ネットワークと、外部ネットワークの区分がなくなる。
外部のない社会は存在し得ない。
無理矢理外部を作り出そうとするノードが出てくるだろう。
しかし、その試みまでもがネットワークの加速に荷担する。
そして、さらに外部がなくなっていく。


そう。
ALL THAT IS SOLID MELTS INTO NETWORK


もう確実なものなんて何にもない。
自分しか信用できない?
いいや、自分すら確実ではない。
なぜなら、僕らはネットワークに生かされているから。
不確実な今を目の前にして、確実だった過去を夢見る。
しかし、その過去さえネットワークによって作られた情報でしかない。
もう何もない。
僕らにできることは何もない。
ネットワークの内部にいる限り。


ALL THAT IS SOLID MELTS INTO NETWORK
ALL THAT IS SOLID MELTS INTO NETWORK