auの顧客満足度No.1というプロモーションは無意味か


今更ながらこんな話題だけど。
auは今、TVCMとかで、「お客様満足主義でいこう!」、「顧客満足度No.1」ってさかんに宣伝しているけど、
果たしてこれは意味があるのだろうか?


企業経営にとって、「顧客満足度」が大事なのは当然だけど、
それはユーザーに対してアピールすべきもではないのではないだろうか?
そもそも顧客満足度って言葉をちゃんと知っているauの見込み客はどれくらいいるのだろうか?
顧客満足度が高いとどんないいことがあるのを知っている人はどれくらいいるのか?
auのNo.1の根拠となっている調査を行っているJDパワーについて知っている人はどれくらいるのか?
顧客満足度の測定方法とその妥当性を知っている人はどれくらいるのか?
おそらくほとんどの人はどれも知らないと思う。
マーケティング担当者ですら怪しい人が多いと思う。


意味のわからない「メッセージ」を(MNPを視野に入れたCMなので)見込み客に届けることは何の意味があるのか?
って考えるのが、普通のマーケティング脳を持った人の考えだと思う。


一般的に、商品には低関与商品と高関与商品とがある。低関与商品とは日常品やお菓子のような、深く考えずに買う商品のことを指す。高関与商品とは深く考えた後に購入する商品を指す。
低関与商品は商品名をひたすら繰り返したり、インパクトのあるCMを打つことがブランド認知に繋がり効果的なCMとなる。
高関与商品は的確なターゲットに対して、その商品を使うメリット、そのメリットを証明するだけの理由を提示することが効果的なCMとなる。


携帯電話は比較的高関与な商品のため、メリットを的確に伝えるメッセージが効果的なように思われる。そういう意味では「顧客満足度No.1」っていうメッセージは無意味ではないだろうか?


って考えがちなんだけど、僕はかなり効果的だと思う。なぜなら、auのこのCMは単に「快/不快」の二元論的な印象操作のみを目標としているからだ*1
小泉が行った「構造改革!」、「郵政民営化!」って戦略と同じ意図をもったプロモーション戦略だ。
多くの国民は「郵政民営化」の「真の意味」、「真のメリット」を知って、賛成した人はかなり少ないと思う。なんだかわかんないけどよさそうだ、みたいな感じで賛成して、結果自民党の大勝利に繋がった。
郵政民営化=快」という印象のみで、「小泉=自民党=快」という印象にまで結びつけて成功した。
これは一種の神話だ。民営化反対派を悪にし、ご丁寧に刺客まで登場させている。神話マーケティング、物語マーケティングの手法以外のなにものでもない。


顧客満足度No.1って言葉も郵政民営化と同様、「なんだかわからないけど、よさそうな」言葉だ。
おそらくこれまでのauのプロモーションを見る限り、顧客満足度No.1って言葉が一般消費者にとって、どれくらい「快」を与える言葉かどうかを丁寧に測定したのちに、このプロモーション戦略を選んだんだと思う。


この戦略が成功するかどうかは「繰り返し」にある。郵政民営化も国民には、最初はどうでもいい問題だった。それよりも年金制度などの方が関心が高かった。でも最終的には郵政民営化作戦が成功した。これは繰り返して、郵政民営化「しか」伝えてこなかったからこそ成功した。auMNP開始に伴って、CM予算を多く取れる時期にこのCMを打ってきたことには意味がある。最初はわけわからなかった「顧客満足度No.1」が最終的には重要なファクターとなる。そして事前の予想通りだが、auMNP商戦で勝利した*2


そういうわけで、はてなパーカー欲しい!

*1:意図的か偶然かはよくわからない。

*2:ソフトバンクの自滅もあったが。ブログ界隈ではソフトバンクマーケティングが絶賛されているけど、僕は失敗だと思う。ついでにドコモも失敗。TSUBAKIのマネしようとしても無駄っす。