システム思考


サラリーマンをやってると、マッキンゼーやらボスコンやら戦略コンサルタントって言われるような人たちが考えた仕事の仕方が嫌でも目に入ってくる。別に嫌じゃないけど。彼らのやり方は、なんだかんだいって、仕事でかなり使える。知っていると知らないのでは大違いだし、使いこなせるのと使いこなせないのでは大違いだ。コンサルタントの仕事法で最も基本的な考え方となるものはロジカルシンキングだろう。ロジカルシンキングは別に難しくはない。基本的な考え方は「MECEに分解すること」、それだけだ。論理学でよくある3段論法とかそんなのは別に必要はない。ビジネスにおけるロジカルシンキングは「MECEに分解」が全てだ。ここら辺は、バーバラ・ミントのこの本が詳しい。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則


別にこんなのはどうでもよかったんだ。大抵のコンサル本はロジックロジック言ってるだけなんだけど、オルタナティブな考え方を提示する本を最近読んだ。


この本は、いわゆるシステムシンキングの本だ。ロジカルシンキングがストックを見る方法だとすると、システムシンキングはフローを見る方法だ。まず、現象の下にはパターンがあると考える。それを時系列グラフで明らかにする。パターンの下には構造があると考える。構造をループ図を使って図示する。ロジカルシンキングは部分部分に分解していく方法だが、システムシンキングは全体を見るという方法だ。
別に社会学では真新しいものでは全然なくて、社会システム理論で使われている考え方とほぼ一致する。ベルタランフィの一般システム理論の応用といったところだろう。社会システム理論の劣化版って言った方がいいくらいだ。
でもビジネスで使いこなすには、劣化版でも使いやすくて、相手に伝えやすいものの方がいい。そういう意味でシステムシンキングはよく考えられている。組織論に使われることが多いようだが、もっと応用範囲は広そうだ。多くの「問題解決*1」のシーンで使えそうだ。
システムシンキングはループ図が最大の特徴だろう。全体のシステムを自己強化型かバランス型の相互作用的なループ構造と見る。そのシステムがうまくいっていなければ、レバレッジポイントを見つけて、うまい方向に回せばいいというう考え方だ。単純化しすぎかな?


「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか」という本はシステムシンキングの入門書としては結構良書だと思う。でもマーケティングが下手すぎるよね。このどっかで聞いたことあるようなタイトルといい。金持ち父さん〜を連想させるパッケージといい。環境関連NGOの人が主著者だっていうのもマイナスだな。共著者がコンサル出身なんだから、そっちをフィーチャーすればよかったのに。やさしいお手軽ビジネス本っていうイメージで出したかったんだろうけど、ハードカバーで堅い感じのビジネス本っていう形式で出したほうがよかったのにって思います。ロジカルシンキングの限界とか感じていない人にとっては、システムシンキングの価値とかわかんないんじゃないかな。ロジカルのが遙かにわかりやすいし。

*1:この言葉すげー嫌い