大学生の意見を端末作りに反映。はぁ?


http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/32006.html
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0611/22/news015.html


この記事。NECが女子大生集めて携帯電話端末開発の参考にするって内容。
女子大生の意見を端末開発の参考にするということは何の問題もない。
しかし、やり方がひどい。大間違い。ど素人。プロにお願いした方がいい。

 同社ではこれまでも、ユーザーアンケートや会場調査、グループインタビューなどの結果を端末開発にフィードバックしてきたが、「グループインタビューで得られる調査結果の精度は悪く、はっきり言って役に立たない」と担当者が話すように、多様化するユーザー層とそのニーズを把握するまでには至っていなかった。

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役に立たないのは、やり方が悪いからでしょ?しっかりとした方法論で、質的調査の専門家が解釈を行えば、グループインタビューは効果的なリサーチになる。僕は好きじゃないし、もっといい方法があると思うけど。少なくとも、役に立たないことはない。役に立たないのは、役に立て方を知らないだけだ。


で、NECが採った方法はこれ。

glitter☆のモニターは、携帯を使いこなすだけでなく、コミュニティ内で新たなニーズを生み出す“トレンドリーダー”が選ばれる。2005年に実施した第1回モニター制度では、高校生・大学生・社会人の女性3チーム34名で構成し、半年間の活動を行った。現在は、大学生による女性2チーム・男性1チームの3チーム30名が、9カ月の期間で活動中だ。第2回の参加者は、リクルーターが集めた候補の中から書類選考や面接など、2カ月5段階におよぶ審査を経た面々だ。

 モニターには、単に携帯電話やサービスに詳しいだけでなく、さまざまなトレンドに通じ、それを他人に伝えることができる表現力、活動を続けられる高い意識も求められる。現在のメンバーは全員が大学生ということもあり、インターンシップに近い感覚で参加するなど非常に意識が高いという。

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つまり何かうまいことを言ってくれそうな人を集めて、いい意見を言ってもらおうっていう意図。
それで最終的にプレゼンして、NECに提案してもらうんだって。
って、これじゃ素人のマーケター集めて、素人マーケターのつまらない意見聞くだけじゃん。
そもそも知るべきは、見込みも含めたユーザーの考えでしょ?
中途半端な専門家気取りの意見集めてどうするの?
こうやって「選ばれた」人たちが、ほんとの顧客の意見を持っていると思ってるの?
選ぶべきは適切なターゲットであって、いい意見を言ってくれそうな人じゃないでしょ。
しかも「インターンシップに近い感覚で参加するなど非常に意識が高いという。」って逆効果じゃん。
別に素人の解釈はいらないでしょ。
グループインタビューでは、専門家気取りの人が良くいるけど、
そういう人はなるべく話を振らないようにするし、解釈の段階では確実に排除するよ。


知りたいのは、本物のユーザーの考えで、解釈をするのは、訓練を積んだ専門家。
質的調査の解釈は訓練を積まないと絶対出来ない。
社会学じゃ当然だけど、マーケティングでも質的調査は哲学的な知識(現象学記号論など)が基礎となっている。
こういった基礎を知った上で、解釈を行わないと「役に立つ」調査にはならない。


NECは携帯電話の出荷予測を900万台から600万台に下方修正したんだって。
まずこんな販売計画を立てていること自体、信じられない。
どうしたら900万を600万にできるの?
どんな需要予測しているの?


こんなマーケティングしているようじゃ、巻き返しどころか、どん底続きだよ。
その点、シャープはマーケティングがうまい。
一貫して、液晶・カメラのブランディングに取り組み、成功している。
こういったところが、売れる機種を作れるかどうかに繋がっているんだよ。