大学院とか


相当遅いけど、永井俊哉さんの末は博士かホームレスかを読んだ。この文自体は永井さんの私怨がかなり入ってそうで、ちょっとおかしいところいっぱいあるけど。

日本の大学院って大変だね。永井さんも紹介してた2つの告発サイト(?)をかなり前に読んだけど、本当に行かなくてよかったって思った。教授のお世話なんて絶対したくないね。


孫引用だけど

そうすれば、学生はどうしなければならないでしょうか。お気付きになったと思いますが、学位を取りたいと思うならば、担当の教官との人間関係を損ねないのは絶対条件です。たとえ無茶な要求をされたとしても、どうしても学位が欲しいのなら、我慢して命令に従わなければなりません。
大学院教育 その恐るべき実態


しかも、大学院の成績って全部Aとか優なんでしょ?聞いた話だからホントかどうかわかんないけど。それだったら成績付ける必要ないじゃん。Aじゃなかったら、全部落とすってことなのかな。


プロフィールに書いている学校名はウソだけど、イギリスの大学院に行ったのはホント。永井さんが言ってることがホントだとしたら、イギリスに行ったのは正解だったなって思う。いや、思わせてくれ。


日本の大学ってそもそも教育する気ないよね。知ってる範囲しか知らないけどさ。自分の研究しかしたくない人ばっかなのかな?研究すらロクにしない人を何人か知ってるけど。
また孫引用だけど

大学院生の数は、この10年で倍近くにまで増え、その結果、大学院の入学試験は大幅に易しくなり、修士論文の水準は、10年前の卒業論文の水準以下になった。このため、技術系社員を修士課程の修了者から採用している企業は、質の低下に頭を抱えている [日本経済新聞:大学院肥大化のツケ, 2005/02/25;2005/02/26] 。


イギリスの大学院ではこのようなことは絶対ない。なんでこう言い切れるかっていうと、システム的にできないようになっているから。(ここから書くことはうる覚えなんで間違ってたらごめんなさい)


イギリスの大学院の成績は担当教官だけが決めるわけではない。liberal arts学科に限って言うと、成績は各授業で提出するエッセイで大体決まる*1。もちろんエッセイは担当教官が点数付けるんだけど、それだけではなくて学部内の別の先生もそのエッセイをチェックする。これが形式だけじゃなくて、きちんと働いている。実際僕も点数が変わったことがある。もちろん、文系のエッセイなんで、担当教官の主観に大きく左右されることは間違いないんだけど。ディザテーションも同様に、担当教官以外もチェックして点数を付ける。
これで最終的な成績が決まる、、、わけじゃない。コース終了後に別の学校の先生がもう一度全てのエッセイとディザテーションをチェックする。そしてようやく成績が確定する。


つまり、先生間、大学間で格差ができないような仕組みになっている。表面的には、どこの大学行ったって、同じ点数なら同じ評価っていうことになる。実際そういうわけにはいかないみたいだけど。他の学校の先生にもチェックされるわけだから、教官がこいつ気にくわねーっていう理由で落としたりすることはできない。逆に、お手伝いしてもらったからって、おまけするっていうこともできない。授業は最低限しか出てないけど、平気で単位取れるっていうこともある*2。もちろん、教官にこびを売る必要は全くない。その代わり、死ぬほど勉強させられるけど。勉強だけしてればいいんで、日本と比べたら気楽なんだろうな。当時はすっげー大変だったけど。


イギリスの制度は、先生の負担は大きいけど、仕組みとしてはすごいよくできている。他にも教授にはなかなかなれないとか、専門の機関が大学の評価をきちんとするとか、仕組みはすごい整っている。ちなみに、liberal artsで教授になるには、それなりに評価された単著が何冊かなくてはいけないみたい。日本みたいに年功序列と学内政治で教授になるってことはまずない。


永井さんは法科大学院なんてなくして、試験に戻せみたいなこと言ってるけど、システムさえうまく作れば大学院の方がいいと思う。でも、イギリスみたいなシステムなんて作れないんだろうな。歴史も違うしね。
あと、イギリスでは修士・博士の就職が悪いってことはない(と思う)。実際イギリスで就活したわけじゃないけど、聞くところによると、BA/BScよりはMA/MScの方がいいところにいけるみたい。


僕は日本に帰ってきてから就活したんで、就職先がなかなかみつからなった。修士とか年齢とか、そういう問題じゃなくて、人間的に問題があるって思われた可能性が大きいですが!

*1:授業中にするプレゼンを成績の一部に入れている場合もかなりあるし、授業中の発言も考慮することもある

*2:そもそも単位制はほとんどないけど。単位制に似たモジュール制っていうのはそこそこある。